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10万円分以上あるTポイントカードと名刺作りの共通点 ~会話、生まれてる?

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かつて「関西の家計簿マジシャン」と評され、マネー雑誌に連載記事を書いていたことがあるのは僕の自慢のひとつ。そんな僕のTポイントカードには、いつも10万円以上のポイントが貯まった状態になっている。

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Tポイントカードはファミリーマートやガスト系列のお店など、全国のあちこちの「レジ」で提示して、ポイントを使ったり溜めたりすることができる。10万円以上のポイントがあると、レジの店員さんたちの多くは驚いて僕に声をかけてきてくれるのが嬉しい。「すごいですね」「どうやってこんなに貯めるんですか?」

マニュアル対応が多いこういうお店で店員さん「から」声をかけてもらえるというのは、実はメリットがたくさんある。「こんな風にやってね、この技を使ってポイントを貯めるんだ」「へぇぇ、そうなんですか!」「こんなにポイントを貯めてる人はあまりいない?」「初めて見ましたよ!!」

店員さんから声をかけてもらえるようになると、顔も覚えられ、こちらからも様々な質問ができるようになる。どんな商品が売れているのか、仕事をしていて楽しいことは何か、将来の夢はどんなものか…。現場で働いている人の感覚や考えを生の声で聴けるようになるというのは、僕のように販促やマーケティングの仕事をしている身には大変ありがたい。教科書には載っていないような雰囲気を知るための仕組み作り、それが僕にとって10万円以上のTポイントが貯まったカードを示し続けることなのだ。

二つ折り名刺の功罪 ~名刺は穴埋め問題を作るように、渡す自分ではなく渡される相手のことを | 川柳をこよなく愛する明石のタコ
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デザイナーズ名刺の功罪 ~ 名刺が印象的であればあるほど。 | 川柳をこよなく愛する明石のタコ

そこで、今日も名刺の話。

これまでも何度もお伝えしてきた通り、名刺で大切なことは「引き算」だと僕は考えている。二つ折りにして情報量を増やす「足し算」の発想はしない。名刺は渡すものではなく交換するものということを考えれば、名刺を交換しながら、相手にどんな関心を抱いてもらって質問をいていただくかという発想が重要になる。

「自分はラーメンを売っています」とドヤ顔で語るのではなく「寒くなると食べたくなるアレ、売っています」と書いた名刺を相手に渡したとしよう。クイズ形式、なぞなぞ、穴埋め問題のようなものをイメージしてもらうとわかりやすい。そんな名刺を渡された相手は当然、こちらに尋ねてくることだろう。「おでんですか?」「ちがいます」「お鍋?」

ラーメンの話はたとえ話で極端に書いたものだが、相手から興味をもって質問をしていただければ、印象に残るのは「名刺」ではなく「名刺を渡してくれた人物」になるということがお分かりいただけるだろう。情報を盛り込みすぎた名刺、デザインにこだわりすぎた名刺は「読めばわかる」「デザインだけが印象に残る」ものになってしまい、肝心かなめの「ひと」「商品」「サービス」について、相手から質問を投げてもらえなくなってしまう。

あとで読み返してもらったときにわかりやすいように情報はたくさん書いておく必要がある…という声もあるが、そういう方に「ではあなたは、名刺をあとで見直して、それで仕事を頼もうと思ったことがありますか?」と聞くと、ほとんどの場合、答えはNoである。今の時代、人物にさえ印象が残れば、FaceBookや各種SNSでつながり、後々の展開はあちらで進んでいくようになる。名刺を印象に残すのではなく、名刺をきっかけとして自分に質問が来るようになる台本が重要。僕はその価値を伝えたくて、「台本名刺」というサービス名で、名刺交換のときに会話を生みだすコンサルティングも行っているし、うちの会社のメンバーに対しても「自分たちの作り出す紙媒体が会話を生み出すきっかけになっているか」ということを意識するように指導を行っている。僕たちの仕事の目的はデザイン性に優れた紙媒体を作ることではなく、それがきっかけとなって売上に繋がるかどうかということだ。販促の仕事とはそういうものである。

「こんな名刺を作ってほしい」とユニークな名刺が持ち込まれることの多いうちの会社。すこし意地悪して「で、この名刺の方はどんな人物なんですか?」と問うと、名刺ばかりが印象に残ったことがわかる答えが返ってくる。名刺が主役になってしまっては本末転倒であるのだが、さて。名刺をきっかけにして、どんな会話をして、どんな質問を「されて」、相手の心に自分の事業と人柄を心に留めることが出来たか。《台本名刺》というサービス名で、名刺のデザインや内容に時間とお金をかけるのではなく、名刺を交換するときのトークの組み立てを一緒に考えるという取組みを行っている。ひとはひとからモノを買う。「ひとを心に留める」のが名刺の役割。デザインは単なる手段であることを、これまで1000人以上の名刺制作に関わってきた立場だからこそ記しておきたい。そして一つだけ真理を。

「書いてあれば、もう、聞く必要はない」

引用元:デザイナーズ名刺の功罪 ~ 名刺が印象的であればあるほど。 | 川柳をこよなく愛する明石のタコ

名刺に書いてあれば、もう、相手はそれについて触れる必要はない。聞く必要はない。だから、名刺は足し算ではなく、引き算でつくること。渡すものではなく、交換するものであるという現場の状況と会話を想像しながら、シナリオのある名刺の価値について真剣に考えてもらえたら嬉しい。