川柳をこよなく愛する明石のタコ

神戸の印刷会社、前川企画印刷の代表ばたがお届けしております

短歌鑑賞

[短歌鑑賞]風鈴の思い出しては鳴っているあれはゆうべの星との会話/杉崎恒夫

投稿日:2014年8月23日 更新日:

風鈴の思い出しては鳴っているあれはゆうべの星との会話
杉崎恒夫
パン屋のパンセ

縁側、冷たい水。蝉の声、高校野球の実況中継に団扇の風、時折、風鈴。

夏は空がキーンとしていて、ひとつひとつの景色や音が色濃く残ってる。まだ、父もいて愛犬たちもいた子どもの頃、夕暮れの風鈴はひと際で、夜になっても余韻を伝え続けていた。都会化が進んで、風鈴も騒音に感じられるようになってしまった地域もあるらしい。人それぞれ、でも、僕は月や星に吊るされたように鳴るその音色が大好きだ。

地球上の海岸の、砂の一粒一粒を集めても、宙の星たちの数には及ばないということを知った。星の正確な数は誰も知らなくて、星になる話の神秘を信じるのは誰も自由で。静かに語らってみるのもいいけれど、時折、響く、その音に耳を澄ませながら懐かしい時間に触れてみる。昔からの時間が敷き詰められていく幻想の夜を、そんな風に過ごしてみるのも悪くない。

Google

Google

-短歌鑑賞
-,

執筆者:

関連記事

[短歌鑑賞]たくさんの孤独が海を眺めてた等間隔に並ぶ空き缶/木下龍也

たくさんの孤独が海を眺めてた等間隔に並ぶ空き缶 木下龍也 つむじ風、ここにあります ソチ五輪のフィギュアスケートで日本男子初の金メダルに輝いた羽生結弦選手の活躍は見事だった。 華やかな舞台、栄冠。その …

[短歌鑑賞]かの時に言ひそびれたる大切の言葉は今も胸に残れど/石川啄木

かの時に言ひそびれたる大切の言葉は今も胸に残れど 石川啄木 一握の砂 血圧や呼吸、心拍を伝える集中治療室のモニター。僕たちは父の顔をみて危機を知ったのではなく、赤くなった数字の色と響き渡る電子音によっ …

[短歌鑑賞]助手席のクーラーからは八月の土のにおいが漏れて 遠雷/山崎聡子

助手席のクーラーからは八月の土のにおいが漏れて 遠雷 山崎聡子(twitter) 手のひらの花火 歌人の穂村弘さんは、この歌をとりあげて次のように評している。 「クーラー」「土のにおい」「遠雷」は、そ …

no image

[短歌鑑賞]降りだせる雨に気づけるきみを見て恋の終わりを予感しており/小島なお

降りだせる雨に気づけるきみを見て恋の終わりを予感しており 小島なお サリンジャーは死んでしまった クロージングやデート。 自分の話にだけ集中させるときは、自分が壁側の席に座って、相手には自分と壁だけが …

no image

[短歌鑑賞]そのゆびが火であることに気づかずに世界をひとつ失くしましたね/笹井宏之

そのゆびが火であることに気づかずに世界をひとつ失くしましたね 笹井宏之 え-えんとくちから 「人それぞれ」とお題目のように唱えるようになって、異なる考え方や価値観を敵対視せず受け流すことができるように …

Google


↑成人式や卒業式、入学式に似合う髪飾り特集はこちら
(コトバノ監修/【ギフトにも最適、桐箱付】)
このブログの執筆者であり前川企画印刷の代表である西端がフォト詩集をiPhoneアプリで出しました。知識ではなく、感性に訴えかける写真と言葉たち。もし良かったら、もし良かったら…
follow us in feedly