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どちらかが彼女を殺した ― 心壊れる生き物だから。

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どちらかが彼女を殺した(東野圭吾さん)読了。



著者: 東野圭吾
出版社: 講談社
サイズ: 文庫
ページ数: 355
発行年月: 1999年05月

最愛の妹が偽装を施され殺害された。愛知県警豊橋署に勤務する兄・和泉康正は
独自の“現場検証”の結果、容疑者を二人に絞り込む。一人は妹の親友。もう一人は、
かつての恋人。妹の復讐に燃え真犯人に肉迫する兄、その前に立ちはだかる練馬署の
加賀刑事。殺したのは男か?女か?究極の「推理」小説。

袋とじつきの推理小説。

それでも、「どちら」が犯人なのかわからない。
斬新で挑戦的な、まさに究極の推理を求められる小説。

読み終えて、すぐにもう一度、全部読み直したい衝動にかられた。

想い、裏切り、裏切られ。 

時間は、綺麗だった笑顔を、ことさらに美化してみたり、欺瞞に満ちた苦々しいものに
変えてみたりとする。 単純ではない、とても複雑な人の心。

僕は、それで、人を殺してしまいたいくらいの気持ちを抱いたこともあった。
僕は、それで、自分は刺されてしまうべきだという深い後悔の底に沈んだこともあった。

今はどうなのかっていうと、そこはそこで未公開な僕の心。

こんな心を推理されてみるのも、時々はいいだろう。

「裏切り」なのか「裏切りでなかった」のか。

どう、自分の中で整理するかによって、行動や思想は変わるけれど、前者から抜け出せない
とき、人は、常に何かを傷付けたがるナイフの如きものを所有してしまいがちで、壊れやすい。

温もりのある絆創膏は ―  誰が貼ってあげられるのか、貼るべきなのか。