どこへ向かうのか
なぜそこへ向かうのかを決める
それが船長の仕事
そのために
草木を剪定するように
船員の感情を揃えていくこともまた
大切な役割
でも今
うちの会社はこういうことがあって
自然と長さが揃っているよなあと
感じることが多い
同じ体験が僕らを強くしている
ふたりは本当に頼もしいよ
よくやってくれている
こんな社長なのにね
こんな弱い社長だからなのかな
ありがとうを何度も伝えたくなる
*
乗り逃げされた社用車が見つかったと連絡があった
見つかったのは広島県内
失踪した当日からずっと
コインパーキングに停められていたらしい
車内にキーが残っているらしく
近々ご家族に回収に行ってもらうことになった
車をそこに置いて
その近所に潜伏しているように見せる意図が
あったのかどうか
その後
彼の生存を示す根拠が見つかった場所まで
どういう手段で移動したのかもわからない
こういう逃げ方(置き去り方)をして
その分のコストは誰が支払うのか
結果的に自分の首をしめることについて
想像はしなかったんだろうな
むなしいね
*
ご家族と電話でお話をして
自分(会社)が彼に持つ債権について
説明をした
彼には入社してすぐ個人的に
多額のお金を貸した
お金は15年近く経っても
一円も返済されなかった
その状態で彼は
会社との信頼関係を失う事件を起こしたので
僕は一括で返済をさせたのだが
同時に
今度は会社に対して彼は債務を持つことになった
結果的にそのあたりから
彼はすべてがうまく回らなくなり
一度目の失踪に至ったのだと思う
それでも僕は彼に機会を与え続けた
仕事で結果が出せるよう
仕事を通じて人のお役に立てるよう
ヒントを与え
それを世に浸透させていく方法も一緒に考えてやった
トークの練習も付き合ってやった
突き放しても
見放すことだけは絶対にしなかった
なのに
ね
彼はどんな気持ちで車を乗り捨てたんだろう
*
「でも僕は思うのです」
ご家族との電話の続き
彼はたぶん車のなかに
会社のお金や書類は残したままに
していると思います
集金したお金を盗んで逃げるような真似だけは
絶対にしていないと思います
それだけは信じてます
*
ご家族の絶望に
ほんのすこしでも救いになればと思って伝えた
俺もバカだよね