奥山貴宏さんは今年の4月に亡くなられた。
肺がんと生きた奥山さん。その特番がNHKで放映されるという。
7月23日(土)22時、NHK教育【オレを覚えていてほしい】という番組がそれ。
いかにも奥山さんらしい番組名ではないか。
是非とも、生きた証に出会いたく、放映予定をここに記しておくことにする。
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「死にたくない」と、最初で最後の弱さを見せた、その日その時のメッセージも収録されるで
あろう、シリーズ第3作目となる33歳ガン漂流ラスト・イグジットも、この7月に発売されることとなった。
一般に「がん+日記」と言えば、“闘病記”のような表現の仕方をするのではないだろうか。
しかし、奥山さんは違う。
奥山さんは、まるで、軽く風邪をこじらせたようなものを胸に抱えた程度で、毎日を淡々と
そしてエネルギッシュに生きていた。
奥山さんのblog、そして32歳ガン漂流エヴォリューションや、その前に出された
31歳ガン漂流でもわかるとおり、「なにかを悟った」わけでも「諦めた」わけでもなく、どんな
毎日を生きて、どんな景色を見て、何をどう思ったか、、、 そんな、裏表のない、「日常」が
そこには綴られている。
「こんなゲームをしている」
「こんな漫画を買った」
「スターウォーズが見たい」
悲壮感も覚悟もない。
僕らの「日常」とリンクした、同じような世界の毎日なのだ。
ガンと闘っているような雰囲気はまるでない。ただ、時折、病院や傷みの表現が出てくる
ことによって、「ガンと生きている」ことを感じることのできる、そんな内容である。
極端な言い方をしてしまえば。
ガンだからとて、末期だからとて。
人間は、死ぬ瞬間まで、喜怒哀楽という感情を持った動物であることがわかり、また、
最後の最後まで、「(病人としてではなく)同一に扱われたい」という願いをもった
誇り高き生き物であることがわかる、そんな本であると言えよう。
「こうすれば症状は良くなった」「あの薬があんな風に効いている」といったような、臨床的な
知識が得られるようなものではないが、家族、友人、知人がガンになってしまったからと、
「やれ宗教だ」「やれ健康食品だ」と勧めてしまうような人たちには、是非、これらの本を
ご一読願えればと思う。
たとえばお見舞いの品ひとつにしても、「身体にいい何か」よりも、「その人の喜ぶものを」
考えて贈ってあげるほうが、よっぽど心身の安定には良いのだ、、、というようなことが、
間接的に理解することができるのではないだろうか。
「ガンと闘った」のではなく、【ガンと生きた】その証を。
是非、手にとって読んでいただきたい。
![]() | 【予約】 33歳ガン漂流ラスト・イグジット 著者:奥山貴宏 出版社:牧野出版 本体価格:1,300円 |
![]() | 32歳ガン漂流エヴォリューション 著者:奥山貴宏 出版社:牧野出版 本体価格:1,600円 |
![]() | 31歳ガン漂流 著者:奥山貴宏 出版社:ポプラ社 本体価格:1,450円 |