川柳をこよなく愛する明石のタコ

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業務日記 雑記

心あるマーケティングとは ~「面白いお店だね」に始まって「ありがとう」までもらえるお店

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神戸の元町商店街で商売を営んでいた父のお店には、ふらっと立ち寄られては「いつ来ても面白い商品の並んでいるお店だね」と声をかけてくださるお客さんがたくさんいた。

お客さんに喜んでほしいという延長にある、商売の結果

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店の入口には視覚や聴覚に訴えかける仕組みがあって、それが機械的なものにならないよう、父は店頭に立って呼び込みを行う。一日に何度も商品の場所を入れ替えては、いつどんなお客様が来ても新鮮な印象を与えられるような心配りをする。「仕事の9割は段取りだ」という僕の口癖は、お客さんに喜んでほしいという父の姿勢から生まれたもの。間違ってはいけないのは、父は買わせよう売ろうと一生懸命だったわけじゃない。お客さんに喜んでほしいという、その気持ちの延長に商売の結果があっただけだ。

僕のお客様が、そのお客様から対価以上の価値あるプレゼントをいただいていたことを知る。商売は100円と値段を付けたものに納得していただき、それをご購入くだされば十分であるはずなのに、お客様のお客様は、サービスの品質に満足されて、貴重な時間とお金をかけて感謝の気持ちを示された。商売の醍醐味、人の繋がり、それに感動を覚えないはずがない。

心あるマーケティングとは ~「ありがとう」の余韻を考えているか

感動を覚えながら思い出したのは、やっぱり商売人の父の姿だ。

「面白いお店だね」と言いながら店内を見て回ったお客様は、お気に入りの商品を見つけて購入の意思を示す。お代を頂戴しながら「ありがとうございます」を伝えると、「面白いお店だね」を言ってくださったお客様は、必ず「ありがとう」と返してくださった。お客様からいただく「ありがとう」には、「面白い商品にたくさん触れられる工夫をしてくれて、それを私が納得する値段で提供してくれて、それをあなたという人から購入できて嬉しいよ」という意味がある

購入後の余韻があるからこそ、お客様はこのお店の存在を他に伝えたいと思うのだろうし、また訪れたいと思ってくれるのだろう。つまり「売る」が始まる前の段取りは、もう、「買う」を終えたお客様の余韻のために行われているということだ。商売は感動に繋がるまでの物語、人の心に届かなければリピートはあり得ない。

マーケティングに絶対の方法はない

「DMを送るときは透明封筒で」「鉛筆などの粗品を入れて手触りで物の入っていることを示す」「音の鳴るものなどを入れてみても」「手書きのお礼状で印象度をアップ」 ……これらの方法は「マーケティング」云々の本に書かれていることで、実際にそういったものを手に取ったことのある方も多いだろう。

これらの手法が間違えているとは言わない、思わない。ただ、誰かが始めた心配りの方法も、僕も私もと真似る人たちが増え始めると、それは心配りではなく、相手をその気にさせるための手段になって見透かされてしまうようになるので注意が必要だと思う。

過去にこんなことがあった。

名刺交換を終えた方から届いたお礼状には、大きな筆文字で「出会いに感謝、このご縁を育んでまいります」と書かれている。事前にそのような葉書を用意しておいて、名刺交換をした直後に投函されたのだろう。粋なことをされる方だと思った。ところが数日後再会してみると、彼はまた、僕に名刺交換を求めてくる。そして「印刷のことをご相談させていただくこともあろうかと思います、その際は是非よろしくおねがいいたします」と同じトークをし始めたのだ。とてもガッカリしたことは言うまでもない。

マーケティングに絶対の方法はない。便宜上マーケティングという言葉を使うけれど、このカタカナで分類される仕組みや手法の多くは、多くの人が知るものとなり、新鮮な感動を与えることは少なくなっているというのが実情だろう。手法や仕掛けや合理的なものではあるのかもしれないが、誰かの心に「またこのパターンか」と悪い印象を抱かせてしまう可能性がないかどうか、自分自身、商売人であるならば想像力を働かせていきたいと思う。

人に見つけてもらう前の心配り、人に見つけてもらったあとの余韻。

商売は、人の輪は、そんな風につながっていく。
僕の理想を思い出させてくれた、今日の感動に感謝。

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