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日記 2025/11/16 ▼ひとり出版社・夏葉社の島田潤一郎さんのドキュメンタリー映画『ジュンについて』を姫路文学館で観てきました。トークショーでは「己の使命」について考えさせられ、その後記念撮影にも応じていただきました。

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先日、和歌山の本屋さんへ足を伸ばしてきたんですよ。

その前は三重、奈良。岡山や高松も”わざわざ”行ったことがあります。いわゆる「独立系書店」と呼ばれるお店にお邪魔するのが大好きなので。趣味は本屋巡り。間違いない。

ところで自分がどうしてこんなに本屋さんが好きかというと、小さな本屋さん、それぞれに「この本を推したいっ!」というこだわりがあり、そのメッセージを本棚から感じるのが大好きだからなんだと思います。わかるよ、伝える方法は言葉ばかりとは限らない。

夏葉社さんは、島田潤一郎さんが立ち上げたひとり出版社。

あしたから出版社を読んで以来、僕はすっかりファンになってしまったのです。そして島田さんがプロデュースされた本は、上で書いたどの本屋さんにも並べられていると。本そのものが魅力的なのはもちろん、島田さんご自身が全国の書店をまわってその魅力を伝えているからなんですよね。

「島田さんって来てるんですか?」
「先週も来てたよー」

そんな感じ。
だからいつか会えるだろう、会わなきゃいけないだろうと思っていました。

そんな島田さんのドキュメンタリー映画が完成し、地元兵庫県、姫路文学館で上映されるというのだから、足を運ばない理由がないのです。

今日は『ジュンについて』の上映会。そして島田さんと、映画を撮影した田野隆太郎さんのトークショーに参加してまいりました。

「本と映画と音楽があれば救われる」なんてフレーズを、さらっと言ってしまう島田さん。その通りなんだけど、体感している人の語尾には熱量があって説得力があるのです。

事実、島田さんは今でもずっと、毎日30分は”歯ごたえのある”読書に取り組み続けているそう。作者の感性や考え方に没入していくことで、これまでの自分の人生で組み立てられた”100の言葉”が再構築されるのだという話は、実に考えさせられました。奇しくも僕と島田さんは同じ1976年生まれ。いいおっさんです。視野も思考も狭くなってきていることを自覚しなくてはなりません。

自分ももっと、「本に挑む」時間をつくろう。

たくさん売れる本ではなく、何度も読み返される本を作りたいと島田さん。

この足で、全国の本屋さんを巡ります。人懐っこい語り口調でひとを魅了するのでしょう。今日も会場にはたくさんのファンが駆けつけていました。アイドルかよっ(羨ましい)。



ドキュメンタリーなのですが、映画にはテロップが登場しないのです。自分は本を読んでいるから、登場人物の人間関係をある程度把握しているけど、知らない人はどうなんだろう? 最初はそんなことを思って眺めていました。

でも(お酒大好き)田野監督が言うんですよね。

「スクリーンに見えるままの情報から感じ取ってほしかった」って。

あぁ、そうかー。
これもまた伝え方なんだな、「こう伝えたい」ではなく「どう感じ取ってもらってもいいんだよ」というメッセージなんだな、ということを思いました。
憎いなぁ。
監督、あんなにお喋りなのになぁ。

僕たちは相手の意図に、委ねられるままに受け取ることを楽だと思い、深く物事を考える習慣を放棄してしまっているのかな。むかしはもっと、空想に生きて、想像に挑もうとした。なのに、いまは答えの用意された道筋へ背中を押されたいと願う。

思わず自分の足元を見てしまいました。
なんとも窮屈な、いまこの瞬間の人生です。

“ジュン”と監督は、そんなことをこの映画で教えてくれました。



仕事は生きるためにするものだけれど、生きることが先にあるのではなく、誰かを楽しませるとか、和ませるとか、喜ばせるとか、笑わせるとか、そういう”使命”が先にあって、あとからお金がついてくるんだな、というのは、普段僕もよくブログで書いていたりしますが、島田さんも同じような話をされていました。

会場の参加者が言っていた「学校上映をはじめ、若い人たちにこの映画を見てもらえる機会を増やしてほしい」というご意見には激しく同意。

哲学の定義を僕は知りませんが、若いうちだからこそ、生きること、働くことの光明に触れてもらって、受け止めた感覚をお互いで共有しあってほしいな。そんな若さはきっと素敵だろうな、なんてことも思いました。

もちろん、お互いを否定するのではなくね。

記念撮影にも応じていただくなどして。

まだ49歳じゃないですか。
その《まだ》という2文字に、背中を押されたような気がします。

動かないとね。
動こう。


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