ころんだ。
自転車ごと転んだ。
リュックの紐がサドルに引っかかってしまい、自転車屋さんの目の前で転んでしまったのである。若い店員の男の子が心配してくれる。
「だ、大丈夫ですか?」
恥ずかしいなぁ、痛いなぁ。
「えっと、メンテナンスをお願いできますか?」
「あ、はい。どこか気になる点は?」
痛む首や腰、脛に触れながら自転車の気になる部位を話す。いまメンテナンスが必要なのは自分の方なのではないか。店員さんもそう思っているんじゃないだろうか。笑えてくる。
「油はどれくらいの頻度で差したらいいのかな?」
質問をする。
油よりも消毒液の方が先じゃないですか? そんな答えを期待したけれど、店員さんは真面目に答えてくれた。いい子だ。僕は悪い大人だ。そして痛い大人だ。
*
ツキイチ眼科。
検査結果は良好だった。スタッフの皆さんが喜んでくれる。そしてすごいすごいと伝えてくれる。嬉しい。4か月に一度欠かさず注射をしていたのに、今は落ち着いていて、片目はもう一年以上治療をしていない。「こういうの初めてですよ」なんて言ってくれる。あがるなぁ。うれしい。
そして病院を出て、自転車で転んだ。
冒頭の話に繋がるのである。
眼科のあとに【痛い《目》に遭った】という物語。