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愛犬の最期 ― 希望で終わる闘病記にはならなかったけれど。

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3/17(日)夜。

夜の治療を終え、病院を出た。

大好きな母が帰ってくる駅に、そのまま車で迎えにいく。母がドアを開けると「おかえりー」と顔を向けた。買い物を忘れていた母が再びスーパーに向かったそのとき、低い声をあげて、全身を硬直させる。それがじゅにあの最期だったんだと思う。急いで動物病院に戻ったけれど、そこはもう、空虚な時間が流れるばかりだった。残酷だったかもしれない蘇生術。最後まで頑張ってくれた先生は、ただ、残念そうだった。いい先生に寄り添ってもらえて、じゅにあも家族も癒やしと納得の時間を与えてもらうことができた。

家に連れ帰り、仏壇の前でしばらく。その後、ソファの上に眠らせてあげた。少しずつ冷えて硬くなっていく全身。表情はとても穏やかで、高齢犬とは感じさせない無邪気な顔をしている。そこに魂がいなくなっても、肌から伝わる優しさは何ら変わることがない。最後まで闘った身体が、家族それぞれの涙で濡れていく。じゅにあは末っ子で、わがままで、とても腕白だった。その瞬間から、もう、苦痛のない世界に飛び立って、大好きだった父親犬のぺぺに逢うことは出来たんだろうか。あーちゃんやぷーすけ、一緒に過ごしたことはないけれど、ジュリーという女王様犬も待ってくれている場所。

「神戸で一番犬の好きな印刷屋」という看板で、ずっと商売をやってきた。犬に癒され、癒された心で書く言葉は、いろんな人に支持をされ、ライターや詩人として生きていく道をも与えてくれた。家族以上の家族だった。自分の軸で、体温で、希望で、夢。心と身体の一部。死にたいと思うほどの辛いことがあっても、犬の顔を思い浮かべて、凌ぐことができた。じゅにあは、歴代の犬たちは、自分をずっと救い続けてくれた、小さな身体で支え続けてくれた。

苦痛から解放されて、眠るように横になっている。
開かない瞳。なのに、優しくて温かい。

満開だったはずの庭のサクランボは、もう、風と雨の中を舞い始めている。
薄紅の絨毯の上を、じゅにあは旅立っていくんだね。
カメラ目線が得意で、皆の寵愛を受けたがったアイドル犬。その「らしい」演出が、やっぱりじゅにあなんだな ―。

世界で一番大好きでした。宝物でした。
愛犬じゅにあ、逝ってしまいました。
20:06でした。

出逢ってくれて、本当にありがとう。