短歌鑑賞 PR

[短歌鑑賞]あまたなる人の患ひのもととなりし海にむかひて魚放ちけり/今上天皇(平成)

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あまたなる人の患ひのもととなりし海にむかひて魚放ちけり
今上天皇(平成)
天皇陛下:水俣など訪問地を題材に短歌

天皇陛下は全国植樹祭、国民体育大会、全国豊かな海づくり大会にちなむ歌を詠まれ、毎年、その主催都道府県に贈られている。2013年は全国植樹祭が鳥取県、国民体育大会が東京都、全国豊かな海づくり大会が熊本県で行われた。

熊本県ご訪問の際は水俣市にも足を運ばれ、水俣病患者の話を受けて詠まれたのがこの歌となる。多くの人々の苦しみの原因となった海に向かって、生(せい)の象徴である魚を放ったという表現で対比されたことにより、病気への理解と海の再生、苦しみからの解放を祈る想いの込められていることがわかる。海は母であって、やがてまた、万物は流転していく。

天皇陛下:水俣など訪問地を題材に短歌 – 毎日新聞
天皇陛下:水俣など訪問地を題材に短歌 …

鳥取県の全国植樹祭、東京都の国民体育大会に向けて詠まれた歌は、それぞれ下記の通り。

大山の遠くそびゆる会場に人らと集ひて苗植ゑにけり(鳥取県)
車椅子の人とならびて炬火を持つ人走り行く日暮れの会場(東京都)