川柳をこよなく愛する明石のタコ

神戸の印刷会社、前川企画印刷の代表ばたがお届けしております

短歌鑑賞

[短歌鑑賞]トングにて肉の赤きを返しつつこの四半期をねぎらわれおり/松村正直

投稿日:

トングにて肉の赤きを返しつつこの四半期をねぎらわれおり
松村正直(blog)
午前3時を過ぎて (塔21世紀叢書)

空想であるのもリアルであるのも詩歌は自由。この歌はリアルそのもので、肉を焼く音やビールの泡、店の喧騒と会社員ならではの上下の人間関係までもが見えてくる。四半期という言葉が生々しく、束の間の休息を過ごす戦士たちの安堵を自分の体験と重ねて想像する。「ランチ」でも「ご褒美」でもない、網の上を行き交う会話と汗と。

付き合わされるのも面倒な気がしたけれど、立場が変われば、そんな機会を設けてやりたいとも思う。タイミングや頻度も難しくて、狙うのは「たまにはいいね」と思われる程度の絶妙。「またか」と思われても意味がない。案外、こうして、ワンマンなようでいて、色々をすり減らしているのも本当のところ。他人同士だけれど他人同士ではないような空気をつくる必要性、泡や網だけでそれが実現するとも思わないけれど、何にもないってのも寂しいじゃない。

Google

Google

-短歌鑑賞

執筆者:

関連記事

no image

[短歌鑑賞]そのゆびが火であることに気づかずに世界をひとつ失くしましたね/笹井宏之

そのゆびが火であることに気づかずに世界をひとつ失くしましたね 笹井宏之 え-えんとくちから 「人それぞれ」とお題目のように唱えるようになって、異なる考え方や価値観を敵対視せず受け流すことができるように …

[短歌鑑賞]わたくしは水と炭素と少々の存在感で生きております/笹井宏之

わたくしは水と炭素と少々の存在感で生きております 笹井宏之 ひとさらい 昨日歩いた道のどこかで見かけたタンポポの数を僕たちは覚えているわけはなく、それでも、タンポポが咲いていたという事実だけは思い出す …

[短歌鑑賞]新しい朝が来たけど僕たちは昨日と同じ体操をする/木下龍也

新しい朝が来たけど僕たちは昨日と同じ体操をする 木下龍也(twitter) つむじ風、ここにあります 新しい朝という言葉には、普通、エネルギーに満ちた気配が伴う。「だからこれを始めよう」「生まれ変わっ …

[短歌鑑賞]助手席のクーラーからは八月の土のにおいが漏れて 遠雷/山崎聡子

助手席のクーラーからは八月の土のにおいが漏れて 遠雷 山崎聡子(twitter) 手のひらの花火 歌人の穂村弘さんは、この歌をとりあげて次のように評している。 「クーラー」「土のにおい」「遠雷」は、そ …

[短歌鑑賞]三月の十日の新聞手に取れば切なきまでに震災前なり/中村偕子

三月の十日の新聞手に取れば切なきまでに震災前なり 中村偕子 変わらない空 泣きながら、笑いながら 東日本大震災を経験した五十五人の共著である短歌集変わらない空 泣きながら、笑いながらを読んだ。どの歌も …

Google


↑成人式や卒業式、入学式に似合う髪飾り特集はこちら
(コトバノ監修/【ギフトにも最適、桐箱付】)
このブログの執筆者であり前川企画印刷の代表である西端がフォト詩集をiPhoneアプリで出しました。知識ではなく、感性に訴えかける写真と言葉たち。もし良かったら、もし良かったら…
follow us in feedly