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[短歌鑑賞]トングにて肉の赤きを返しつつこの四半期をねぎらわれおり/松村正直

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トングにて肉の赤きを返しつつこの四半期をねぎらわれおり
松村正直(blog)
午前3時を過ぎて (塔21世紀叢書)

空想であるのもリアルであるのも詩歌は自由。この歌はリアルそのもので、肉を焼く音やビールの泡、店の喧騒と会社員ならではの上下の人間関係までもが見えてくる。四半期という言葉が生々しく、束の間の休息を過ごす戦士たちの安堵を自分の体験と重ねて想像する。「ランチ」でも「ご褒美」でもない、網の上を行き交う会話と汗と。

付き合わされるのも面倒な気がしたけれど、立場が変われば、そんな機会を設けてやりたいとも思う。タイミングや頻度も難しくて、狙うのは「たまにはいいね」と思われる程度の絶妙。「またか」と思われても意味がない。案外、こうして、ワンマンなようでいて、色々をすり減らしているのも本当のところ。他人同士だけれど他人同士ではないような空気をつくる必要性、泡や網だけでそれが実現するとも思わないけれど、何にもないってのも寂しいじゃない。

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