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日記 2025/12/17 ▼母が退院した。2週間前に胃の3分の2を切除したそんな母が、退院後すぐに行きたがった場所とは。そして僕たち家族は。

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母が退院した。

10月に癌が分かってからここまで、色々な関門があった。ステージはいくつなのか。転移はあるのか。手術はできるのか。どんな治療があるのか。いつ手術をしていただけるのか。予後はどうなのか。

癌になってしまったことは不幸だったけれど、その後はすべて順調だった。だから最後の最後の関門である「生検の結果」がとても気になるところではある。退院できるとはいえ、まだ喜んでいいわけではない。その生検の結果は改めて外来で聞くことになってい

「あ、生検の結果、出てますよ。問題ありませんでした」

え?

「外来で改めて説明しますけど、問題なしです」

退院をしようとしているまさにその瞬間、たまたま主治医のT先生が通りかかって教えてくださった。わぁぁ、すごいぞおかん、オール5じゃないか。完璧だ。よかったなぁ。

とはいえ、だ。
胃の3分の2を切除した。元通りの食生活ができるようになるまでには、数か月を要するらしい。いや、時間を要しても元に戻るとは限らない。これからが大変だ。どうする? これからの食生活、どうする?

「バイキングに行きたい」

え?

「食べ放題に行きたい」

おおお。
おかあさま。

大丈夫ですか?
あ、いや、そうか。
まだ何を食べられるか分からないから、いろいろなものを少しずつ食べて試してみるということですね。わかりました。どうか無理なく、少しずつ、よく噛んで食べてみましょう。けっして食べすぎないよ

3回目の料理取りにいったー。

すごいな。
むしろ、普通の人より食べるやんか。。。

「先生に見つかったら怒られる」


まぁ、食べられるなら良かったよ。

幼少のころから、ずっと教えてくれたやん。

「ひとは食べられるうちは大丈夫」って。
だから安心するよ。
ありがとう。腹痛はないかい?

さぁ、じゃ帰ろうか。
疲れただろう?

「UFOキャッチャーに行きたい」

え?

「興奮するのよあれ、UFOキャッチャーに行きたい」

ご満悦♡

すごいね。
もう80歳。

2週間前に胃を切る手術をして、退院してその足で食べ放題。そしてUFOキャッチャー。あんたすごいよ。俺のおかんはすごいよ。強いわ。むしろ伝えるべきだわ。その強さ、いろんな人の希望になれるわ。だから書くよ。あんたの息子は書いて伝えることが生業なんだよ。だから伝えさせてくれ。おかん、その強さはみんなの希望やって。うちの家族だけちゃうて。いやほんま、強く生きてくれてありがとう。生還してくれてありがとう。なんか自慢だわ。うれしいわ。ほんまにうれしい。ありがとう。



たくさんの人に応援していただき、母、本日無事、戻ってまいりました。

正直、この3か月間は不安に圧し潰されそうで、不眠も続いてしんどい毎日でしたが、日常が戻ってきたこの感覚に、ただ安堵しています。これで眠れるようになるかな。

これからのこと、まだ不安がないといえば嘘になりますが、「とりあえず」です。母は明日明後日にもまた、神戸元町のお店に立ちたいと言っています。ぜひ、お店にも遊びにきてやってください。神戸元町商店街で一番やかましいお店です。可能であればわんちゃんを連れてきてやってください。うちの家族は犬好きです。

病院への付き添いで、自分の仕事もたくさん、日程変更をしていただきました。ご迷惑をおかけしました。「あたりまえやん、最優先しーよ」と言ってくださった皆さんのこと、忘れません。行動でかえします。ありがとうございました。

退院して、外に出てすぐ、母は言いました。

「あぁ、風が気持ちいいー」

同じです。
僕たちもいま、新たな人生を与えられた母の横にいて、とてもとても気持ちが良いのです。この躍動する気持ちを行動にしていかなくちゃ、嘘だと思います。起きていることに意味があるのなら、僕は与えられた命の意味を嚙みしめ、また、誰かに与えることを選んでいきたいと思います。

そして。
できるかぎり、母をたくさん、UFOキャッチャーに連れていってやりたいと思います。小さな親孝行をつづけます。それだけです。がんばります。

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