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[短歌鑑賞]そのゆびが火であることに気づかずに世界をひとつ失くしましたね/笹井宏之

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そのゆびが火であることに気づかずに世界をひとつ失くしましたね
笹井宏之
え-えんとくちから

「人それぞれ」とお題目のように唱えるようになって、異なる考え方や価値観を敵対視せず受け流すことができるようになった(気がしている)。度が過ぎて、twitterやFacebookで見かけた誰かの考え方に触れてしまいそうなとき、下書きの幾つかは蔵に押し込むようになってしまったのもホントだけれど。

当たり障りのないものだけが自分の軌跡にあって、火になりそうなものはくすぶったままにしておく。妥協点を見出すのが上手になった。大人になったのかなぁ、なんて、ハンバーグを食べながら考えたりする。

歌人の笹井宏之さんは2009年に26歳の若さでこの世を去った。もう、新しい歌に出逢うことは叶わない。