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ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ / 彼らの守りたかった未来に、私たちは生きている

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ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 1 (ヤングアニマルコミックス)
著:武田一義 白泉社

この原稿を書いている今、新型コロナウイルスが引き起こしたパニックで、日本国内ではマスクやトイレットペーパーの争奪戦が繰り広げられている。譲り合うことが美徳とされた日本の姿は、今ここにはない。

「ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 」は、太平洋戦争末期のペリリュー島での争いが描かれた漫画である。米軍との戦いはもちろんのこと、彼らは日常的に、病気や飢餓に苦しみ、死と隣り合わせにいた。生きるための争いは熾烈を極め、死ぬことは許されず、とうの昔に帰国を諦めた彼らが願ったのは、ただただ祖国にいる家族の幸せだけであった。「自分が死んだら、どれくらいの恩給が出るのかなぁ?」

ほのぼのとした三頭身のキャラたち。しかし、その「まるさ」が余計に「生死」へのコントラストを高める。たとえば、壕に閉じ込められて食糧がなくなってしまったとき、自分ならどうするだろう? たとえば、死んでしまった仲間の最期の姿を、自分ならどう遺族に伝えるだろう? そんな自問自答を繰り返しながら、”狂気の中にある人間の姿”をまざまざと見せつけられた。

マスクやトイレットペーパーを奪い合うようにする”狂気”を、緑ゆたかなペリリュー島で眠る彼らが知ったら何を思うのか。彼らの守りたかった未来に、私たちは生きている。

兵庫県中小企業家同友会会報への寄稿記事)

ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 1 (ヤングアニマルコミックス)
武田一義, 平塚柾緒(太平洋戦争研究会)
白泉社 (2016-07-29)
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