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変身 ― 死ぬ前に愛に戻れて良かった。

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東野圭吾さん、変身読了。


変身
著者: 東野圭吾
出版社: 講談社
サイズ: 文庫
ページ数: 382p
発行年月: 1994年06月
本体価格 590円 (税込 619 円) 送料込

脳移植手術を受けた青年にしのびよる灰色の恐怖。君を愛したいのに、
愛する気持が消えてゆく…。全編にみなぎるサスペンス。

「長い時間をかけて育ててきたものが、ことごとく無に帰す。
それは、死ぬってことなんだよ。

生きているというのは、単に呼吸しているとか、心臓が動いているとかって
ことじゃない。脳波が出ているってことでもない。
それは足跡を残すってことなんだ。

後ろにある足跡を見て、たしかに自分がつけたものだとわかるのが、
生きているということなんだ。」

この台詞に全てが集約された物語。

積み上げたものが無に帰す。
そんな喪失ほど、人の気持ちを抉ることはない。

笑顔も、ふざけあった景色も、全て嘘? そして、芽生える不信。

裏切りや嘘は不信へ、そして、それが人を狂気へと駆り立てる。

一線を越えても、越えなくても、残るものは空虚。
すべての始まりは、些細な嘘から生じるものなのだ。

信じあえるままであれば、愛は変わらないのに。

形、無くしても。 意識が世の中に、存在する限り。