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二度目の社員失踪事件から20日:「彼が出禁になっていることをはじめて知って、体温が一気に下がった」

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失踪された側の心理や体調の変化
その記録は誰かの役に立つと思っている

そりゃメンタルも壊れるでしょう
体調に変化もあるでしょう

怒りや悲しみ
諦めやむなしさ
回復していく様子

文体や語尾から伝わるものもある

自分が同じ立場になったとき
この人はどう対処していたか

自分の身近に同じ立場の人が現れたとき
どんな行動をしてあげたら良いか

この道は
誰かの通る道

僕は道しるべ

だから書いている
心配されたくて書いているんじゃないよ

自分は病気があるので
朝のウォーキングやジョギングが欠かせない

海の向こうの島影を見ながら走っていた

ことは覚えている
のに

次の場面は
海岸の緑地帯の土の匂いだった

倒れたのか
転んだのか
寝ようとしたのか

まったく覚えていない

手のひらや膝にそれっぽい痕はないので
無意識が身体を横たえようとしたんだろうか

びっくりした

休んでないわけじゃないし
食べてないわけでもない

衝撃だったのが
こういうときでもいつも
離人である自分が現実の自分を観察するのに
今回はその感覚がなかったこと

草の匂いと土の冷たさと

画面が急に切り替わっていて
あいだの記憶がない

海と空の色はいつも通りだった

長年お世話になっているお客様のところへ

彼にはこんなことでお世話になった
こんな無茶も聞いてもらった

そういう話が続いてしばらく

でも、抜けが多かったかな
対応の遅いことが多かった
忘れられているものもたくさんある

そんな流れになっていく

受けていた報告と明らかに違う内容もあり
そうかあれも嘘だったのか

その都度悲しい気持ちになる
申し訳ない気持ちになる

彼の考えたあるイベントに
ほとんど人が集まらないということがあった

皆さんに珈琲を飲んでいただくことを前提に
大きなテーブルを用意してくださっていた
老舗喫茶のマスター

想定していたほど人が集まらないことを
事前に伝えもせず
それが店の営業にどれだけの影響を与えたか
想像することもせず

同じ企画をもう一度したとき
今度はまったく人が集まらなくて

当日
連絡はおろか
訪れることもしなかったらしい

だから彼が出禁になっているのだと
人伝に聞いた

体温が一気に下がった

5年も前に相談されていた仕事を
何度も催促されていたにもかかわらず
放置していた事実も発覚した

お客さんは彼にチャンスを与えようと
ずっと辛抱してくださっていたらしい

そういうご依頼があったということ自体
自分は聞いてもいなかった

僕の耳は何のためにあるのか

24時間
彼の横にいて
彼の行動を見て
彼の会話を聞いて
彼の電話の内容を聞いて
彼のメッセージアプリのやりとりを見て

ひとつひとつ

だからまずは最初にこれからしようね
いつまでにこれをやるか伝えようね
できないことは何か書き出そうね
困ったら「助けて」と言おうね

と言ってあげたら良かった

僕の24時間は何のために存在したのか

自分の仕事をしながら
彼が放り出した仕事を片付けていく

約束と約束のあいだに
彼がお世話になっていたところに顔を出す
お詫びを伝える

そして
報告を受けていない「やりかけ」の存在を知る

会社の車は戻ってこない
集金したお金がいくらなのかも分からない

時間が足りない
会社にはもうお金がない

いま自分のいる場所から
どんな声をあげて
どんな約束をしていくことが
責任を果たすということになるのだろう?

分からない

「また、よろしくおねがいします」

と口に出して言う”また”が
空気を揺らして耳に届くとき

なんのための約束を目指しているのか
ぜんぶ分からなくなってくる

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