失踪された側の心理や体調の変化
その記録は誰かの役に立つと思っている
そりゃメンタルも壊れるでしょう
体調に変化もあるでしょう
怒りや悲しみ
諦めやむなしさ
回復していく様子
文体や語尾から伝わるものもある
自分が同じ立場になったとき
この人はどう対処していたか
自分の身近に同じ立場の人が現れたとき
どんな行動をしてあげたら良いか
この道は
誰かの通る道
僕は道しるべ
だから書いている
心配されたくて書いているんじゃないよ
*
自分は病気があるので
朝のウォーキングやジョギングが欠かせない
海の向こうの島影を見ながら走っていた
ことは覚えている
のに
次の場面は
海岸の緑地帯の土の匂いだった
倒れたのか
転んだのか
寝ようとしたのか
まったく覚えていない
手のひらや膝にそれっぽい痕はないので
無意識が身体を横たえようとしたんだろうか
びっくりした
休んでないわけじゃないし
食べてないわけでもない
衝撃だったのが
こういうときでもいつも
離人である自分が現実の自分を観察するのに
今回はその感覚がなかったこと
草の匂いと土の冷たさと
画面が急に切り替わっていて
あいだの記憶がない
海と空の色はいつも通りだった
*
長年お世話になっているお客様のところへ
彼にはこんなことでお世話になった
こんな無茶も聞いてもらった
そういう話が続いてしばらく
でも、抜けが多かったかな
対応の遅いことが多かった
忘れられているものもたくさんある
そんな流れになっていく
受けていた報告と明らかに違う内容もあり
そうかあれも嘘だったのか
と
その都度悲しい気持ちになる
申し訳ない気持ちになる
*
彼の考えたあるイベントに
ほとんど人が集まらないということがあった
皆さんに珈琲を飲んでいただくことを前提に
大きなテーブルを用意してくださっていた
老舗喫茶のマスター
想定していたほど人が集まらないことを
事前に伝えもせず
それが店の営業にどれだけの影響を与えたか
想像することもせず
同じ企画をもう一度したとき
今度はまったく人が集まらなくて
当日
連絡はおろか
訪れることもしなかったらしい
だから彼が出禁になっているのだと
人伝に聞いた
体温が一気に下がった
*
5年も前に相談されていた仕事を
何度も催促されていたにもかかわらず
放置していた事実も発覚した
お客さんは彼にチャンスを与えようと
ずっと辛抱してくださっていたらしい
そういうご依頼があったということ自体
自分は聞いてもいなかった
僕の耳は何のためにあるのか
24時間
彼の横にいて
彼の行動を見て
彼の会話を聞いて
彼の電話の内容を聞いて
彼のメッセージアプリのやりとりを見て
ひとつひとつ
だからまずは最初にこれからしようね
いつまでにこれをやるか伝えようね
できないことは何か書き出そうね
困ったら「助けて」と言おうね
と言ってあげたら良かった
僕の24時間は何のために存在したのか
*
自分の仕事をしながら
彼が放り出した仕事を片付けていく
約束と約束のあいだに
彼がお世話になっていたところに顔を出す
お詫びを伝える
そして
報告を受けていない「やりかけ」の存在を知る
会社の車は戻ってこない
集金したお金がいくらなのかも分からない
時間が足りない
会社にはもうお金がない
いま自分のいる場所から
どんな声をあげて
どんな約束をしていくことが
責任を果たすということになるのだろう?
分からない
「また、よろしくおねがいします」
と口に出して言う”また”が
空気を揺らして耳に届くとき
なんのための約束を目指しているのか
ぜんぶ分からなくなってくる