業務日記

ブロガー名刺という商品を開発した狙い ~あえて期待値を下げる中小零細企業の広報戦略

7年乗った車とお別れしてきたことは先日書いた。

愛車と過ごした7年とお別れの一日と | 川柳をこよなく愛する明石のタコ

新しい車が届くまでの間、代車としてスズキのスイフトRSをお借りしている。展示用の新車を貸してくれたものだから、うっかり傷をつけたり汚してしまったりしないか気を遣うのだけれど、運転しているときの感覚がとても気持ち良くて気に入ってしまった。

僕が車に求めるものは「なんとなくボタンが多い」「食パンに近いかたちをしている」「収納がたくさんある」「後ろ姿が昆虫っぽくない」といったあたりで、それ以外の点はほとんど気にしていなかったのだけれど「クルコン」はとても便利だし「ぶぉぉぉぉん」という音は車が頑張っている感がなくて良いし、なによりボタンやメーター周辺のデザインが格好良くて、これは所有欲を満たしてくれる車だなぁと思った。ディーラーの店長曰く「スズキのクルマは安っぽいという先入観をお持ちの方が多いので、ちょっと頑張ると評価が高くなるんですよ」とのこと。なるほど。

あえて期待値を下げるという戦略

神戸の販促や印刷前川企画印刷でも、僕は期待値を下げる戦略を取り続けた。いわゆる「安かろう悪かろう」のイメージを持っていただくことで、僕たちの接客や成果物のレベルが低いものだと思いこませ、実際には徹底的に質の高いものをお届けする。そして「あら、意外にやるじゃないの」という感動を呼ぶことを期待した。ひとは感動すればそれをクチコミで伝えてくれる。たとえ金額的に安かったとしても、ブランドイメージの向上に伴って受注する数が増えてくれば、結果的には売上や粗利を当初の期待値以上に確保することができる。それを具現化したのがブロガー名刺というサービスだ。

「あの子はずっと委員長をするくらい真面目だった子なのに、こんな悪いことをするだなんて」と「悪戯ばかりの悪い子だったのに、こんな一面もあるのね」であれば、後者の方がイメージが良くなる。名前も知られていなければ、何が得意であるかを前にも出せない僕たちに必要だったのは「ブロガーさん向けの名刺作成なら前川企画印刷」という認識をしていただくことで、この戦略は見事にはまって、今ではたくさんのブログや雑誌、各種メディアで紹介していただけるようになった。ブロガー名刺という商品名を商標登録しなかったことも功を奏して、いろんなデザイナーや印刷会社の方にも一般名詞として使っていただけるようになったのは有り難いことだと思っている。名刺は仕事をしている人にだけ必要なものというイメージを塗り替えていくことができたのも良かった。

ブランドイメージやブランディング、知名度、広報や広告といった戦略を手伝う業者や個人は増えてきたなぁと思う。ただ、僕は、知識を売るのではなく自分の経験で他の商売をされる方の広報とブランディングをお手伝いしたいと思っている。論より証拠。たとえば「ブロガー名刺」や「前川企画印刷」で検索したときに、自分で書いたものしか出てこないようでは、ただの頭でっかちということになってしまう。

「こういう知識があるんですよ」ではなく「僕たちはこういう風にしてきましたよ」 ― 知識はあって当然で、その知識を継続したものが「知恵」であり、お客さんに価値を提供できるのではないか。それが僕の考え方だ。

他を蔑むことなく、自分の経験を売っていくこと。そのためには現状に慢心することなく、これからも継続していくことが大事だと考えている。仮説、継続、失敗、分析、継続。このサイクルにこそ、お客様の役に立てる価値が生まれると思っている。