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阪神百貨店のデパ地下における試食コーナー、店員さんとお客さんのコミュニケーション ~葛根湯以上恋人未満

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しばらく冷蔵庫に保管しておいた葛根湯を振らずに飲むと、最後にどろっとしたものが残ってしまう。どろっとした部分に薬効の主成分が残っていそうで、水分の失われた瓶を片手に飲もうかどうかを躊躇するけれど、僕にはどうしてもその勇気が出てこない。致し方なく、その他の栄養ドリンクやビタミン剤をちゃんぽんにして飲む。大切なことは「いろいろと身体に良さそうなことをしてみた」という暗示にかかることで、プラシーボ効果を信じる僕に正しい知識や情報は無用だ。

大阪のドラッグストアで「葛根湯以上恋人未満の奴をくださいな」と頼むと「これなんて心にまで寄り添ってくれますよ」とおススメを教えてくれた。面白い。まさに「誰から買うか」だ。

阪神百貨店のデパ地下を歩いていると、洋菓子やパンのお店までもが試食コーナーを設けていることに気が付いた。ただ、それらはすべて、無条件に「お取りください」ではなく、店員さんからお客さんに手渡す形式になっている。売る側にも買う側にも土地柄を反映したコミュニケーションの方法が成立していて、眺めて歩くだけでも楽しい。「買うからもうちょっと食べさせてーや」「せやけど試食でお腹が膨れたから、今度また買いに来るわ」

商売は工夫と約束の連続だな、と思う。過去形に愚痴をこぼして進まないあいだに、違う誰かはもう、とっくに次の工夫に動き始めている。