何でも役に立ちたいと言ってくれた後輩が
朝いちばんに会社にやってきてくれた。
本当に来てくれるんだ。
他にも
「納品ならできるよ」
「疲れてるだろうから運転手する」
「バックオフィス業務手伝うから」
「営業でもするで」
「事務所の床磨きしようか」
なんて連絡が続々と。
チカラになろうとしてくれたり
冷えた心を温める言葉を与えてくれたり
みんな、みなさん
いい人ばかりです。
ありがとう、ありがとうございます。
*
社用車は戻ってこず。
手紙やメッセージなどの連絡もなく。
事務所に戻った形跡もなし。
放置されまままの仕事を整理していると
お届けする(した)ことになっている
請求書の束が出てきた。
ああ
架空の売上を立てて報告してたんだな。
その架空の売上に対して
自分は一生懸命
お金を調達して税金を払ってたのか
彼とはよく話をした
「社長を馬鹿になんてしてないです」
「でも、馬鹿にしてることになるんだぞ」
「してないです」
馬鹿にするつもりはなくとも
相手を馬鹿にしているということ
傷付けているということ
そういう想像の苦手だった彼だけど
架空の売上伝票はもう
そのレベルを超越してるよ
このままでは
業務上横領に詐欺の罪が加わる
くるしい
*
いまは社用車がないので
仕事に大きな支障が出ている
新しい車を買う?
レンタカー? 短期リース?
どれにせよコストがかかる
彼に請求することはできる
でも、支払い能力がないことはわかっている
また個人的に調達をする?
また?
*
前回の失踪で捜索にかかった費用
信用を毀損され、失った仕事の逸失利益
合わせると400万円は下らない
社員を失踪させた経営者、というレッテルは
ずっと続く、今も続いている
つまりマイナスはこれからも拡大していく
一円でも惜しい
立て直すためにお金と時間を使いたい
のに
*
駅のホームで
いつものように線路を眺めていると
「大丈夫?」
とご年配の方に声をかけられた
そんなに思いつめた表情をしてる?
どんな風に見えたんだろう
でもやさしいなぁ
世界には
この星には
傷ついた人の体温になろうとする
意思が存在している
いまは十分甘えようと思う
助けて
と
素直に声をあげよう
*
「申し訳ありません」と84回
朝から口にした回数
数えるくらいの余裕はあった
だから大丈夫
それ以上に
「ありがとうございます」を言った
有り難いことだらけだよ