川柳をこよなく愛する明石のタコ

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「 短歌鑑賞 」 一覧

[短歌鑑賞]フェイクファー風を含んで湿りだす守りたいのは正しさじゃない/法橋ひらく

フェイクファー風を含んで湿りだす守りたいのは正しさじゃない 法橋ひらく それはとても速くて永い (新鋭短歌シリーズ) べき論をそれっぽい顔をして頷いて聞いている。生きていくっていうことを最優先に考えた …

[短歌鑑賞]母と目が初めて合ったそのときの心でみんな死ねますように/岡野大嗣

母と目が初めて合ったそのときの心でみんな死ねますように 岡野大嗣(twitter/blog「第2ファスナー」) サイレンと犀 (新鋭短歌シリーズ16) 「最近の親は子どもにこんな変わった名前をつけるん …

[短歌鑑賞]ならべるとひどいことばにみえてくる頑張れ笑え負けるな生きろ/岡野大嗣

Amazonでサイレンと犀を購入すると、特典に安福望さんのポストカードがついてきた。安福望さんはこの本の装画と挿し絵を描いている方で、神戸の西の方、多分きっと明石に近いところに住んでいると思われる。 …

[短歌鑑賞]自殺者の三万人を言いしときそのかぎりなき未遂は見えず/吉川宏志

2014/11/23   -短歌鑑賞

自殺者の三万人を言いしときそのかぎりなき未遂は見えず 吉川宏志 燕麦―吉川宏志歌集 (塔21世紀叢書) 新しい看板のまま、もう、営業をしている気配のないお店。 出来てすぐに潰れた場合もあれば、最後の最 …

[短歌鑑賞]三月の十日の新聞手に取れば切なきまでに震災前なり/中村偕子

三月の十日の新聞手に取れば切なきまでに震災前なり 中村偕子 変わらない空 泣きながら、笑いながら 東日本大震災を経験した五十五人の共著である短歌集変わらない空 泣きながら、笑いながらを読んだ。どの歌も …

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[短歌鑑賞]トングにて肉の赤きを返しつつこの四半期をねぎらわれおり/松村正直

2014/10/10   -短歌鑑賞

トングにて肉の赤きを返しつつこの四半期をねぎらわれおり 松村正直(blog) 午前3時を過ぎて (塔21世紀叢書) 空想であるのもリアルであるのも詩歌は自由。この歌はリアルそのもので、肉を焼く音やビー …

[短歌鑑賞]多すぎる言葉を払い落したらきれいな空が広がっていた/中畑智江

多すぎる言葉を払い落したらきれいな空が広がっていた 中畑智江 同じ白さで雪は降りくる (新鋭短歌シリーズ15) 「愚痴なら聞くよ」「ほんと?」 ところが不幸話には、お互いの不幸が重なり始めてしまう。「 …

[短歌鑑賞]かの時に言ひそびれたる大切の言葉は今も胸に残れど/石川啄木

かの時に言ひそびれたる大切の言葉は今も胸に残れど 石川啄木 一握の砂 血圧や呼吸、心拍を伝える集中治療室のモニター。僕たちは父の顔をみて危機を知ったのではなく、赤くなった数字の色と響き渡る電子音によっ …

[短歌鑑賞]風鈴の思い出しては鳴っているあれはゆうべの星との会話/杉崎恒夫

風鈴の思い出しては鳴っているあれはゆうべの星との会話 杉崎恒夫 パン屋のパンセ 縁側、冷たい水。蝉の声、高校野球の実況中継に団扇の風、時折、風鈴。 夏は空がキーンとしていて、ひとつひとつの景色や音が色 …

[短歌鑑賞]だまし絵に騙されあっていましたね でたらめにうつくしかった日々/笹井宏之

だまし絵に騙されあっていましたね でたらめにうつくしかった日々 笹井宏之 てんとろり 放課後や夏休みは永遠に続くように思われた。幾つもの夢を語り合って、世界は僕たちの手のひらをコロコロとした。悔し涙も …

[短歌鑑賞]新しい朝が来たけど僕たちは昨日と同じ体操をする/木下龍也

2014/05/28   -短歌鑑賞
 

新しい朝が来たけど僕たちは昨日と同じ体操をする 木下龍也(twitter) つむじ風、ここにあります 新しい朝という言葉には、普通、エネルギーに満ちた気配が伴う。「だからこれを始めよう」「生まれ変わっ …

[短歌鑑賞]助手席のクーラーからは八月の土のにおいが漏れて 遠雷/山崎聡子

2014/05/12   -短歌鑑賞
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助手席のクーラーからは八月の土のにおいが漏れて 遠雷 山崎聡子(twitter) 手のひらの花火 歌人の穂村弘さんは、この歌をとりあげて次のように評している。 「クーラー」「土のにおい」「遠雷」は、そ …

[短歌鑑賞]あと少しのぼれば空が見えますよ抱きしめているもの捨てなさい/東直子

2014/05/09   -短歌鑑賞
 

あと少しのぼれば空が見えますよ抱きしめているもの捨てなさい 東直子(twitter) 十階 短歌日記2007 荷を背負ったままで走りきれるわけがないのに、まるで命よりも重たいものであるかのように抱えて …

[短歌鑑賞]夕空が鳥をしずかに吸うように君の言葉をいま聞いている/大森静佳

2014/04/26   -短歌鑑賞
 

夕空が鳥をしずかに吸うように君の言葉をいま聞いている 大森静佳(twitter) 歌集 てのひらを燃やす (塔21世紀叢書) 第39回現代歌人集会賞、第20回日本歌人クラブ新人賞、第58回現代歌人協会 …

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穂村弘さん監修の「はじめての短歌」に呻りっぱなし ~穂村弘さんってどんな人?

2014/04/19   -短歌鑑賞, 読書
 

「短歌で自己表現をしたい」「短歌がもっと上手になりたい」と思う人には最適な教科書であるのは勿論、穂村弘さんならではの文体が読み物としても面白い。それがはじめての短歌。いろんな人に穂村さんの魅力を知って …

[短歌鑑賞]Googleにホットスポット記されず北北東の風に吹かれる/天道なお

2014/04/15   -短歌鑑賞
 

Googleにホットスポット記されず北北東の風に吹かれる 天道なお(twitter/blog) NR 何年も通った校舎の前にいて、もう同じように帰ることはできないことを思って苦しくなる、こんなに。 賑 …

[短歌鑑賞]わたくしは水と炭素と少々の存在感で生きております/笹井宏之

2014/04/05   -短歌鑑賞
 

わたくしは水と炭素と少々の存在感で生きております 笹井宏之 ひとさらい 昨日歩いた道のどこかで見かけたタンポポの数を僕たちは覚えているわけはなく、それでも、タンポポが咲いていたという事実だけは思い出す …

[短歌鑑賞]さみしくて見にきたひとの気持ちなど海はしつこく尋ねはしない/杉崎恒夫

2014/03/13   -短歌鑑賞
 

さみしくて見にきたひとの気持ちなど海はしつこく尋ねはしない 杉崎恒夫 パン屋のパンセ 作者の杉崎さんは大正8年生まれ。2009年に亡くなってしまわれたが、この歌は70代か80代の頃に詠まれたものだそう …

[短歌鑑賞]たくさんの孤独が海を眺めてた等間隔に並ぶ空き缶/木下龍也

たくさんの孤独が海を眺めてた等間隔に並ぶ空き缶 木下龍也 つむじ風、ここにあります ソチ五輪のフィギュアスケートで日本男子初の金メダルに輝いた羽生結弦選手の活躍は見事だった。 華やかな舞台、栄冠。その …

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[短歌鑑賞]降りだせる雨に気づけるきみを見て恋の終わりを予感しており/小島なお

降りだせる雨に気づけるきみを見て恋の終わりを予感しており 小島なお サリンジャーは死んでしまった クロージングやデート。 自分の話にだけ集中させるときは、自分が壁側の席に座って、相手には自分と壁だけが …

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[短歌鑑賞]真実がもしも山なら君たちが登ったところで徒労ではない/中島裕介

真実がもしも山なら君たちが登ったところで徒労ではない 中島裕介 もしニーチェが短歌を詠んだら 効率のいい方法、近道。 検索すればいくらでも答えに辿り着けるようになって、打たれ強さを育む「必要な無駄」と …

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[短歌鑑賞]あまたなる人の患ひのもととなりし海にむかひて魚放ちけり/今上天皇(平成)

2014/01/10   -短歌鑑賞
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あまたなる人の患ひのもととなりし海にむかひて魚放ちけり 今上天皇(平成) 天皇陛下:水俣など訪問地を題材に短歌 天皇陛下は全国植樹祭、国民体育大会、全国豊かな海づくり大会にちなむ歌を詠まれ、毎年、その …

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[短歌鑑賞]たっぷりと春を含んだ日溜まりであなたの夢と少し繋がる/笹井宏之

たっぷりと春を含んだ日溜まりであなたの夢と少し繋がる 笹井宏之 えーえんとくちから 理論は統計で、統計は感情や思惑の積み上げに過ぎない。だから結局、直感や感覚と呼ばれるようなもので最短距離を選べる人は …

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[短歌鑑賞]知り合いの勝手に動く掃除機を持っていそうな暮らしをおもう/吉田恭大

知り合いの勝手に動く掃除機を持っていそうな暮らしをおもう 吉田恭大 短歌研究 2013年11月号 スタートラインは同じだった同級生たちも、今は方向も速度もそれぞれで、その場所から見える景色を教えてほし …

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[短歌鑑賞]この街が廃墟になっても後ろ手に空を見上げたままなのでしょう/東直子

この街が廃墟になっても後ろ手に空を見上げたままなのでしょう 東直子 十階 短歌日記2007 明石駅に降り立った父は、ホームからお城を望む光景をいたく気に入って、この街に暮らすことを決めたという。お堀が …

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[短歌鑑賞]そのゆびが火であることに気づかずに世界をひとつ失くしましたね/笹井宏之

そのゆびが火であることに気づかずに世界をひとつ失くしましたね 笹井宏之 え-えんとくちから 「人それぞれ」とお題目のように唱えるようになって、異なる考え方や価値観を敵対視せず受け流すことができるように …

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[短歌鑑賞]忘れてはならぬ何かを念のため記したはずのあのメモがない/小島ゆかり

2013/12/16   -短歌鑑賞

忘れてはならぬ何かを念のため記したはずのあのメモがない 小島ゆかり 純白光 短歌日記2012 忘れっぽい人のことを集中力や意識の問題だと決めつけていた時期があった。心身の不調で、辿ることのできない記憶 …

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このブログの執筆者であり前川企画印刷の代表である西端がフォト詩集をiPhoneアプリで出しました。知識ではなく、感性に訴えかける写真と言葉たち。もし良かったら、もし良かったら…
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